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編集王子

わらいのはなし。

 昔、吉田戦車の「伝染るんです」が流行っている頃。

 同僚とのランチ時、店に置いてあるビックコミックスピリッツを一心不乱に回し読みし、毎週毎週キャッキャと笑っていたところ、当時の上司(40代半ば)が「そんなに面白いマンガなら、自分も読んでみたい」などと仰るものだから、あの、伝説のふざけきった作りの単行本第一巻(知ってる人なら知ってると思うので、詳細は省略)を貸してあげたのですが。


「ごめん、何が面白いんだか全然分からない」


 と返却され、昨今の若者の笑いに一切ついていけない自分にショックだったのか、その後上司はすっかり体調を崩し、数日間寝込んでしまったということがありました。


 その上司はいわゆる「団塊の世代」で堅物のオヤジでして、出てくるギャグは、

「やったぜベイビー」

「冗談はよしこちゃん」

「と、日記には書いておこう」

と、当時でも脱力系の死語でしたからね(笑)、新しい笑いなど理解する脳、というものはなかったと思いますがね。


(蛇足ですが、「冗談はよしこちゃん」って、私が子供の頃に流行ったギャグだと思うのですが、その語源は、漫画家の土田よしこさんの作品からだと朧げに思っていたのでした。

 しかし、ウィキ等でそれをはっきり明言している記述はなく、ヤホーの知恵袋あたりでは「1986年に同名タイトルのマンガがあって、それからだよ」なんて間違いを堂々と書かれている輩もいて、ああ、こうして本当の歴史は埋もれていって改ざんされていくのだなあと思ったりしたのですが。

 そんな大袈裟な話じゃないか。「冗談はよしこちゃん」は「余裕のヨッちゃん」みたいな、単なる言葉遊びみたいなものなのかもしれません。ああ、蛇足がこんなに長くなっちまったな、失敬失敬)

(ああ、土田先生は今年亡くなっているんですね。合掌)


 だから、自分も歳を取ったら、最先端の笑いも理解できなくなり、それを自覚して寝込むことになるのかなあとうっすら思っていたのですが。


 今回のM-1グランプリ、どの演者も面白くて大笑いし、令和ロマンの優勝も見事的中しましたし、ああ、お笑いの感覚に関してはまだまだオレも現役だね、と胸を撫で下ろしたところなのでした。


 さや香に関しては、あのとんがった笑いを、あえてあの決勝戦でぶち込んでくる勇気に拍手を送りたい(多分ご本人達もあのネタで優勝できるとは思ってなかったと思うし、いつものネタなら優勝していたかもしれないですね)、ただ、コンビ仲があまりよろしくないような、ギスギスした感じが垣間見えて、心置きなく笑いに没頭できないのが残念でした。


 あと、敗者復活戦で勝ち上がったコンビよりは、ロングコートダディとかトムブラウンの方がずっと面白いと思ったんですがね。

 まあ、好みの問題、人それぞれなのかもしれません。


 とかなんとか書きながら、実は、M-1の時間、これが一番面白かったんですが、ネットでも同意見の方がチラホラいらっしゃったので、勇気を出してアップします。

わらいのはなし。_c0135618_21484439.jpg


 日本のみなさま、お疲れ生です(なんだか着地失敗)。


# by yochy-1962 | 2023-12-26 21:48 | 映画・舞台・テレビ | Trackback | Comments(0)

面白い人生

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 まったくもって器用に生きられず、人生のレールを踏み外し、右往左往しているうちに「おじいちゃん」になりつつある、自称「さすらいの大衆酒場ハンター」こと、私であります。


 若い頃、「他人と同じような人生を歩くなんて、真っ平だね。あの、リクルートスーツを着て集団でオリエンテーションを受けるなんて、考えただけでもゾッとする」などと嘯いたこともありましたが、自分はそういうことを拒否しているのではなく、ただただ、それができないだけであって、じつは、そういう普通の、レールに乗った人生を全うすることこそ大変なことなのだ、ということを、歳とってから知ることになるのですがね(苦笑)


 まあ、大人になってからも集団で連むとか、同じような恰好でマスゲームのような行動をするとか、今でも反吐が出るほど嫌なことではありますが(苦笑)。


 あっちでつまずき、こっちでひっくり返り、人並みということが一切出来ず、ホント、自分は二流、三流の人生を送ってきたものだと思います。


 今でこそ、こういう生き方でも誇りをもって、楽しんで生きればいいと腹を括ることもできましたがね。


 若い頃は大変でした。

 もがいてももがいても、上に上がれない、というより、どんどん下に沈んでいく。

 同年代の人達の、華やかな活躍を横目に、自分はそういうステージさえ上がることを許されず、半睨みで世間を見つめ、とにかく、与えられたことに全力投球で進むことしかできなかった青春時代だったと思います。


 そういった、もやもやとかイライラとか、怒りとか欲求不満とかのエネルギー全てが、血となり肉となり、今の自分を形成しているのだ、ということに気がつくのに、60年かかりましたがね(苦笑)。


 そう、今思えばですが、自分が経験したこと全て、何一つ無駄なことはなかったと思うのです。

 当時は悔しくて、惨めで、腹立たしかった一つ一つのことも、自分という「クリスマスツリー」の大事な、キラキラ輝く飾りとなっているのです。


 まあ、何があろうともコツコツと、腐らず前を向いて歩いてきたからこそ、そういう気持ちに到達できたのだと自負しているのですがね(ひそかな自慢。ただただしつこいのか、鈍いのか、って話でもありますが)。


 敬愛する山田太一先生が亡くなりました。


 もう10年以上、表立って活動されていらっしゃらなかったし(隣席の同年代の編集者曰く、かなり前にインタビューを試みたのだが、もうその時点で体調が悪く、お断りされたとの話)、それほど遠くない将来にその訃報を聞くかもしれない、などと思っておりましたが、それでも、こうしてそれが現実となってしまうと、ガクッと力が抜けたような、そんな淋しさが、冷たい風のように心の中を駆け巡ります。


「ふぞろいの林檎たち」。ちょうど同年代の、「二流、三流」の若者達が悩み、傷つきながらも、生き生きと人生を謳歌している姿を、毎回毎回、必ず涙しながら観ていたものでした。


 先生が亡くなられてから、このドラマを作るにあたってのインタビュー、という映像を見たのですが。


「若い人、たくさんたくさん話を聞いたんだけどね、一流大学に行って、順調満帆に生きている人より、いわゆる二流、三流でいっぱい傷つき、それでも逞しく生きている人達のほうが、断然話が面白いんだよね」


 それがこのドラマを作るきっかけになった、ということなのだそうです(べろんべろんに酔っ払っている時に見たテレビだったので、多少の間違いはあるかもしれんが)。


 そう、自分の人生は面白いんだ。

 オリジナルの人生を生きているんだ。

 そう、先生に背中を押されたような気がして、またまた号泣した夜でございました。


 ご冥福をお祈りします。


# by yochy-1962 | 2023-12-13 19:49 | 文学・芸術 | Trackback | Comments(0)

タイなのだ

 仏教と渋滞の国(笑)、タイに行ってきました。
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 11月からは、タイは「乾季」に入り、だいぶ暑さも和らぎ雨も降らないという触れ込みだったのですが、やはり今年は日本同様、夏がずいぶんと長居してくれたようで、スワンナプーム空港からホテルまでのバス移動中、ものすごいスコール!の大歓迎でした。

 そして見たことのない、まるで打ち上げ花火のような雷のラッシュ。赤道に近いと、雷も様子を変えるのだと、認識を新たにしたのでした。

 およそ20年弱ぶりの海外。ですからパスポートも新たに作り直しです。
 前回は2000年、まだ30代の頃に作ったパスポートの、己の顔をまじまじと見つめ、ああ、オレも歳をとったものだね、つくづく、というちょっとした落胆も、いざ海外に出てしまうと全て忘れ、久しぶりの海外を、ホント目一杯楽しませていただきました。

 まずはアユタヤ遺跡観光です。
 1351年から1761年まで、その栄華を誇ったというアユタヤ王朝。ビルマによって破壊され、仏像など頭部を破壊されたり無惨な様相もそのまま残し、現在は世界遺産としてその姿を残しています。
 当時、どうやってこんな建物を作ったのか不思議なくらい精密な構造に驚くばかり。しかしそれも、ピサの斜塔のように少しずつ、少しずつ傾きかけている建物もあり、これから先どのくらい保てるかな、とも思います。

 それにしても、このツアーのガイドさん(タイ人の女性。半分くらい日本語が分からなかったのですが、フレンドリーでとってもいい方でした)の口調で、ああ、タイの人はビルマ(ミャンマー、ですね)のことを相当嫌いなんだな、ということは分かりました。
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 二日目は、バンコク市内の寺院観光です。
 私が敬愛する三島由紀夫の「暁の寺」の舞台になった「ワット・アルン」の姿を生で見ることができたのは感動でした。
 細部に渡る繊細な装飾にまたまた感動し、涅槃像、69メートルの巨大大仏の迫力に圧倒され放し。
 とても暑い日でしたが、エメラルド寺院(日本でいう皇居と迎賓館を合わせたようなところ)などは厳格に、半ズボン、ダメージジーンズでの入場は禁止されていて(事前に学習していない、バカな外国人が何人も入場を阻止されていました)、タイの人の、国王に対する畏敬の念がひしひしと分かりました。

 街中にタイ国王のでっかい写真パネルが飾られていましたしね。
 そういえば向田邦子のエッセイで、髪をセットしてもらうためにタイの美容室に行って、うとうとしている間に、あれほど「逆毛を立てないで」と言ったのに、出来上がった髪型は見事に逆毛を立てたものだったのでクレームを入れたところ、美容師はにこやかに、「でも、貴女は◯◯王妃(当時のタイの王妃だったと思う)と一緒の髪型ですよ」と言われた、それだけタイ国民は国王、そして王妃を敬愛しているのだ、というような文章を思い出しました。
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 美味しいものもいっぱい食べましたよ。
 辛いものは得意ですし、ナンプラーの、独特の香りも調教され済みでしたので、なんでも美味しくいただけました。
 二日目の昼は飲茶のバイキングだったのですが、なんだかそこでもソースがナンプラー臭がして、町中がタイ料理感たっぷりだったのは、3日目にはさすがに食傷気味ではありましたが。

 タイは屋台がたくさんあって、ちょっと試してみたい気もしましたが、「絶対にお腹を壊すー!」という先人の教えを守って、ヘタレな我々は、ホテルあるいは街のレストランでの食事に専念しました(苦笑)。
 まあ、そういうところでは、火を通していないものも、氷も大丈夫。 
 観光地のトイレはともかく(無料のところと有料のところとある模様。オレは間違って50バーツ払ってきてしまいました)、ホテルのトイレは紙も流せるし、ただ、ウォシュレット代わりなのかな、あのホースのようなものは試す勇気がなく(水浸しにしたらどうしようかとか思って。まあ、ホテルだから大丈夫なんだろうけど)、断念いたしました。

 あと2、3日あったら、もっといろんなところに行ったり、ライトアップされた寺院をゆっくり観たかったなあとも思いますが、まあ、おぢさんは暑さにやられて、夜はゆったりシンハービールを飲むのが精一杯、という感じでございました(苦笑)。

 日本に帰ったら、季節はすっかり冬になっておりました。
 秋はどこに行ったの? という感じでした。
 

# by yochy-1962 | 2023-11-24 20:44 | ひとりごと | Trackback | Comments(0)

Thank you !!!

by yochy-1962
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