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This is “the” music. 〜フォーエバー モーリス・ホワイト〜

c0135618_22122036.jpg 人類の起源はアフリカにあるといわれています。
 そこから何万年、いや何十万、何百万年かな、途方もない長い時間をかけて人類は世界各地に散らばり、その土地の気候に合わせて、食べ物に合わせて、肌の色は変わり、骨格は変わり、顔の特徴も変わり、現在に至っているわけです。
 だからきっと、人々が口ずさみ、ときに高揚し、ときに心の慰みになっている「音楽」も、その起源はアフリカにあるのかなあと、アース・ウインド&ファイアーのリーダー、モーリス・ホワイト氏の訃報を聞き、いろいろな思い出が洪水のように押し寄せながら思ったことでした。

 初めて彼らの音楽を聴いたのは、まだ私がいたいけな、なんの毒も身にまとっていない(苦笑)中学生の頃。
 ラジオから流れる「宇宙のファンタジー」を耳にしたとき、爽快なシャワーをいきなり全身に浴びたかのような衝撃が走ったものでした。
 いままで聴いたことのなかった複雑なリズム、我が所属のへっぽこ楽団(ブラスバンド部)には到底真似のできない、迫力いっぱいのブラスセクション、パワフルで美しいフィリップ・ベイリーのファルセット。
 突然世界のど真ん中に連れ出されたかのような、360度パノラマの世界を目の当たりにさせられたかのような感じ。
 そう、まさしくそのときが、私の音楽における「開眼期」「第二次性徴」の瞬間だったのでした。

 その後、「セプテンバー」「ブギー・ワンダーランド」「レッツ・グルーヴ」と、次々に世界的ヒットを飛ばし、アースの音楽は私の毎日に欠かせないものとなっていました。
 どうして私が、これだけ彼らの音楽に惹かれていったのか、それはもちろん、私がブラスバンド部に所属していたこともあったと思いますが、ブラックミュージックにとどまらず、ジャズ、ロック、ディスコ、ファンク、カリビアン、エレクトリック、そしてラップにいたるまで、とにかく、いいと思われる音楽を果敢に取り入れ、自身のものにしていった「鼻息の荒さ」という魅力があったからだと思います。
 いまでこそ私も、食べず嫌いなく音楽を楽しみ、まるで無国籍状態のiTunesを抱えて生きていますが、それを導いてくれたのは、アース・ウインド&ファイアーであることは間違いないでしょう。
 
 来日公演には、何度行ったことでしょう。ひとつひとつのライブが、いまでも鮮明に思い出されます。
 彼らのパフォーマンスは大マジックショーさながらの大掛かりなもので、突然ステージに現れるなんてのは序の口、あるときは、メンバー全員が大きな地球儀の中に入り、それが一瞬のうちに消えたかと思うと、客席に瞬間移動。そしてまたあるときはでっかいスクリーンの中で歌っているかと思ったら、これまた瞬間で実物に変わる……まさに、「見せる」ステージづくりの先駆けは、アース・ウインド&ファイアーだったのではと思います。

 そうした「マジック」だけでなく、ギターやトランペットをくるくる回しながらのパフォーマンスは、デビューしたてのサザンオールスターズがいち早く取り入れていました。
 ああ、スペクトラムという、まったくのアースのコピーバンドもありましたね。一流のスタジオミュージシャンを集めて作った、音楽的には素晴らしいバンドでしたが、日本人にはファルセット、そしてあの奇抜な衣装はちょっと無理がありましたね。

 それだけでなく、その後のマイケル・ジャクソン、プリンスなどにも影響を与え、そして日本のドリームズ・カム・トゥルー、つんくなども、明らかにアースの影響を受けている音楽がたくさんあります。とにかく、後にも先にもない、偉大な「音楽の神様」が、アース・ウインド&ファイアー、そしてそのリーダーのモーリス・ホワイトだったのです。

 ここ数年、パーキンソン病と闘っているという話を聞いていましたし、もう70歳を越えた年齢を考えると、いつかその「Xデー」が来るのではないかと思ってはおりました。
 しかしこうしてその日を迎えた今日、仕事も手につかず、心の中でアースの名曲が次々にリフレインされ、学生時代のいろいろな思い出、大人になってからの思い出がごちゃまぜになって、いま、パソコンの前に佇んでいます。

 それにしても、若い頃はその音楽性ばかりに気を取られ、アースがどういう思いで音楽を奏でていたか、そこまで考えたことはありませんでした。
 というか、歌詞カードを読んでみても、「神」「祈り」みたいな、わりと宗教色の強い言葉が並んでいて、中学生の子供にとってはちょっと受け入れ難いというか、自分にはとりあえずあんまり関係ないや、ぐらいにスルーしていたのでした。
 しかし、1990年に発表した「ヘリテッジ」という曲を聴いて、アースの、そしてモーリスの「思い」を、ひしひしと感じることができました。
 ヘリテッジ=遺産、財産、という意味なのですが、モーリスはこの曲で、未来を背負って立つ子どもたち、とくにそれまで差別されてきた有色人種の子どもたちに向けて、先人たちが必死で築き上げてきた音楽を愛し、継承し、誇りを持った人生を送れと訴えているように思えました。
 音楽には国境も、差別もありません。そこにあるのは愛と、平和だけです。モーリス・ホワイトは、音楽を通して、そして心から音楽を楽しむ姿を表現して、世界中の人々に「音楽のある人生」「歌をうたえる人生」を目指して欲しいと思っていたに違いありません。
 前を向いて。高らかに。

 モーリス・ホワイトは、アフリカの楽器「カリンバ」を奏で、アルバムでもライブでも我々に聴かせてくれました。
 人類の起源であるアフリカで生まれた、オルゴールの元祖ともいわれるその楽器の音色は美しく、心が洗われます。
 アース・ウインド&ファイアー、そしてモーリス・ホワイトこそ、私にとっての「This is “the” music.」。心からの感謝と、そしてご冥福をお祈りしたいと思います。

 さて、これから、「太陽神」からのアルバムを、一枚一枚噛み締めながら聴こうと思います。
 焼酎を一本買い込みまして(笑)。徹夜は必至だな。

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by yochy-1962 | 2016-02-05 23:10 | 音楽 | Trackback | Comments(2)
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Commented by よごれ銀治郎 at 2016-02-10 00:47 x
第二次性徴。まさにそれ。なんじゃこりゃーと、びっくんびっくん的な衝撃の目覚め。

茶化してしまったですが。成長は、たんに毛が生えましただけじゃないのよねえ。日々、世界が拡がってゆく。はじめて観た月食。セミの羽化。知と空間のひろいフロンティアに臨んで少年は、いつも驚く。

オノレの無知と小ささを嘆くヒマなんかない。まっすぐに、あたらしい世界へ漕ぎ出してゆくのよ。

こないだ定演リーフレットに載せたエッセイの焼き直しごようしゃ。

それはソレで偉大な音楽ではったけれど山口百恵あたり。ドゥアなんだけれども、どこかヨナ抜き的に味噌醤油の匂いがする内国の音になじんでいたこどもの耳が、スタイリッシュでミントのたっぷり効いた洋楽に搏たれた瞬間。またひとつ少年の世界が拡がる。

音楽のかっけさもさりながら。そんな上等なものにわたりあう自分のオトナさかげんにも、ぞんぶんに酔って。一人前の誇りかな心地。

同時に。甘ったれた子供ではもういられないとの孤独感ももよおしてくるです。そんな心情にかぶさるFantasyのモルっぽい旋律は、すんばらしくヒロイック。ひとり野を征く男児のカタルシサ、いや増して。
Commented by yochy-1962 at 2016-02-10 22:27
よごれ銀治郎さま コメントありがとう。音楽の第二次性徴は、ビートルズでもカーペンターズでもなく、アースだったのよね、我らブラバン仲間は(^_^)。きょう、アースのDVDを買ってきてしまいました。今宵はそれをおかずに焼酎一本の予定(^_^)。
で、だからあっちにも(どっちだ)書いたように、4月、アースやってね。一曲だけでいいから(^_^)。