2010年 05月 03日
ワーキング・レディース・ショー
店内はお昼時をちょっと越えた時間であったため、それほど混み合っているという感じではありませんが、それでも学生の街ということもあって、多くの若者がわっせわっせとご飯をかっくらう姿が見られます。
「もしかして、オレってこの中で一番年上?」などと、ふと思ったのですが。
……って、言いたいのはそういうことではなくて(笑)、そこで店員として働いている「おばちゃん」(推定年齢55歳といったところか)の働きぶりがなかなか印象的で、私の「いじわるー」な目(笑)は彼女に釘付けになってしまい、読み始めた文庫本を閉じ、ずっと彼女に「熱視線」を送ってしまったのでした。
とにかくおばちゃん、動きのひとつひとつがパワフルで、「アタシはバリバリ働くオ・ン・ナ」オーラを出しまくりです。
「はい、いらっしゃいませーーーーっ!!!」と、そこまで大きな声で叫ばなくても、というくらいの声を張り上げ、中のお茶がこぼれてしまいそうな勢いで湯飲み茶碗をドスン、と置き、「ご注文は?」と、(早くしな。こちとら忙しいんでい)というニュアンスを持った声で、お品書きを眺める時間の猶予も与えず客を責め立て、◯◯定食と言った途端に、あざやかなトリプルアクセルの如き回転をして、厨房方向に「◯◯定食一丁!」と声を張り上げて去って行きます。「この店は舞台。私は女優!」。背中がそう語っています。
「それほど混んでいて忙しい、って感じじゃないのになあ。なにを焦っているんだろおばちゃん」と、悪魔(オレのこと)は面白半分で頬杖などつきながらおばちゃんの動向を見守っています。
で、「はい、◯◯定食、お待ちどうさま〜。ごゆっくりどうぞ〜」と、定食につばが入らねえかな、というくらいの大声で、やっばりドスン、という感じで定食をテーブルの上に置いてくださいます。
しかし「ごゆっくりどうぞ〜」と言うときにはおばちゃん、すでに私に背を向けている状態で、もしかしたらその「ごゆっくり」云々は厨房に向かって言っているのかなあとぼんやり思いながら、勢い余って運んで来たからなのか、ちょっとこぼれてしまっている味噌汁を私はすすります。
ちょっと時間の余裕ができたらしいおばちゃんは、「まったく、耳がついているのかしらねえ」などと、もうひとりの大学生らしきバイトの男の子の方を見ながらぼやきはじめます。
どうもおばちゃんは、その男の子の働きぶりが気に入らないらしく、「早く、あそこのテーブルをかたしてって言っているでしょ!」みたいな厳しい言葉を次々に発しています。
「うーん、男の子のほうが確実に、丁寧な仕事をしているような感じがするんだけどなあ」と思いながら、「いや、やっぱり先輩バイトとしては、彼を一人前に育てなくてはいけないという責任感を持っているんだろ」とも思ったりもしています。で、食事を終え、私のテーブルにナプキンがすっかりなくなっているのを言おうか言うまいか悩み、言ったらまた男の子が怒られるかなあと心配してしまい、自分のハンカチで口を拭きながら席を立ちます。
そしてお会計のとき、どういうわけかおばちゃんは「はい、ありがとうございました〜」と怒鳴りながらも、レジに来ようとはしません。どうもおばちゃん、レジ打ちを任されていないのか、あまり好きではないのか、どちらかのようです。
「どうしたんだろおばちゃん」と思っていたのですが、男の子は新たに入って来たお客の対応をしていたため、結局、しぶしぶレジ打ちをすることになります。レジ打ちはおばちゃんの「ウィークポイント」ということがわかりました。
しかし、やっぱりというか、期待通りというか、おばちゃん、レジ打ちの方法がよくわからないらしく、たどたどしい手つきでレジを打つのですが、どこか間違えたボタンを押してしまったらしく、「ピーッ」とかいうプレミアム音(笑)が出て、結局、男の子を呼んで、レジ打ちの方法をレクチャーしてもらったりしています。「えっ、もしかしておばちゃんのほうが新人バイトなの?」と思いながら、私は店をあとにしたのでした。
ちょっとした、楽しい「ショー」みたいだったなあと思ったのと同時に、うーん、「てきぱき」と「雑」は違うんだけどなあ、こういう勘違いをしている店員さんって多いよなあ、オレも気をつけなければ、居酒屋店主になったときにと、なんだかわけのわからない心持ちで(笑)新宿方面に歩き出した私でした。
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頭をフル回転、昨日の話題と微妙にリンクしてますな。
>はい、ありがとうございました〜」と怒鳴りながらも、レジに来ようとはしません
>レジ打ちの方法がよくわからない
ここ、特にツボでした(笑)
あるよね。あるある(爆)
あたしの机近辺にいる人でも、よく見かけてる(大笑)
わからないときはわからないと言いましょう。だねー
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