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編集王子

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2012年 10月 17日 ( 1 )

 ある日、スーパーでのこと。
 きょうは冷たいうどんにかき揚げなんかトッピングしちゃおっと思い、ルンルンルン(古い?)と惣菜コーナーに赴き、トングで「海老かき揚げ」をつまんだ瞬間、背後から、「なんでアナタはそういう意味のない買い物ばかりするの!」と荒げた女性の声に、一瞬私の手はフリーズしてしまったのでした。

 思わず振り向くと、どうもそれは私に対して放ったセリフではなく、ほぼ同時にかき揚げに手を伸ばした、隣の男性に向けられたもののようでした。
「なんでそんなつまらない買い物ばかりするの!」
 これぞ般若、という顔をした40代前半、といった感じの女性と、もっさり、天然、空気読めません、という形容がぴったりな感じの、同じく40代前半の男性は、どうも夫婦のようでした。
 女性は化粧っ気はないものの、びっちりと決めたスーツ姿、男性も同じくスーツ姿というところを見ると、ふたりは共稼ぎ、子供はいるのかいないのかわかりませんが、まあその会話で、だいたい家庭内の位置関係は察することができそうな感じでした。

「だって美味しそうじゃん、これ」
 気弱に、おどおどとした口調で男性が言いかけた言葉に、
「そんなもの、家に帰ればあるでしょ」
と、彼女はくい気味に言葉をかぶせ、彼が手にしたかき揚げを戻すように、きっぱりと命令しています。
「えっ、あるの〜? 知らないよオレ」
「っていうか、材料があるからアタシが作るわよ」
 たぶんこの人、売り言葉に買い言葉的に言っているけど、絶対にかき揚げなんか作らないだろうなと思いながら、私は自分用のかき揚げを袋に詰め、買い物カゴに入れ、夫婦の話に、耳が「当社比3倍」状態になっています。

 どうも彼女は、彼のする行動そのものが気に入らないらしく、仁王立ちになって彼を威嚇し、どんな行動も全否定、周りの目も気にせずに、怒りまくっています。
 そんなに嫌ならいっしょに買い物なんかに来なければいいのになあ、と思いましたが、私は素知らぬ振りをしながら、一度乳製品コーナーに移動する「フェイント」をしつつ、すぐにニヤニヤしながら夫婦の後ろにびったりと張り付くことを決心します。

 彼はかき揚げをあきらめ、その横にある寿司、弁当コーナーに移動しました。
「まったく、ホントにアナタは」というような独り言をつぶやきながら、彼女はカートを押しながら、彼のあとをついていきます。
 ニコニコしてれば結構美人なのになあこの人。しかし今は顔全体が「へ」という字のようになってる……と思いながら、私も寿司でも物色するポーズで、この夫婦の成り行きを見守ります。

 とにかくその男性、プチ買い物依存症なのか、なにか自分の意志で買い物をしたくてたまらない様子。寿司コーナーのいなり寿司、ネギトロ寿司、海鮮巻き等に熱視線を送っています。
 で、それらを手に取ろうとするたび、奥さんはヒステリックな声で「いらない!」とか「やめて!」とそのチョイスを却下しています。彼はその声に「うるさい! オレは買うんだ」と一言ガツンと言ってやればいいのに、んー、そうかなあ、にやにやにや、じゃあこっち、と、わざと火のついた彼女に油を注いでいるようにも見えます。
 まあ、なんだか憎めない、という感じだけど、私にこういう男友達がいたら、その鈍臭さに、同じように「アホ」「バカ」「マヌケ」「デブ」などと彼をいじめていたかもしれないなあと、ちょっと思いましたが……いいや、友達にはなっていなかったでしょうね。でもこのふたりは夫婦なんだよなあ、たぶん。意外とこういうプレイなのかしらん?(笑)

 結構ざわついた店内でありながら、彼女の声はまるで最新のヒットソングのように響き渡り、ちらちらと他の客もこの夫婦を意識しているようです。
 ん〜普段女房の作る料理が少ないのか、そうとうまずいのか、どちらかなんだろうなと、ちょっと旦那さんのことが気の毒になりながらも、でもそんなに欲しいんだったら自分の金で買えばいいのに、財布も握られちゃってるのかなあ、なんて思いましたが。

 それにしても、ある意味子供みたいな旦那さんと、顔全体でへの字を表現している奥さんは、どんな恋愛時代を経て現在に至っているのだろうかと、思わずにいられませんでした。
 きっと、彼女にしてみたら、昔はその「少年っぽいところ」に惹かれたのだが、いつまでたってもガキのままで、体型だけはどんどん大人になって、しかも姑の肩ばかりもって全然頼りにならないし、ホント結婚なんかするんじゃなかったわ……なんて調子で愛は醒めていったのでしょうか。

 しかし、言われ放題言われ、なんの反論もせず、というより「馬の耳に念仏」状態の旦那さんでしたが、なにも言わないだけで、心の中では「なんだこいつ、昔は黒髪が綺麗な美少女だったのに、どんどんおっかない顔になっちゃって。料理だってろくにできないし、ウチの親戚の悪口ばかり言うし。あーもう我慢ができない。よし、もう家出よう。経理のサオリちゃんちに泊めてもらおう。んーいっそのことこんなヤツとは離婚して、サオリちゃんと結婚しちゃおっかな。彼女もそろそろはっきりして、なんて言ってたし……」なんて思っているかも、しれませんよー。気をつけて。

 その後二人がどうなったのか、レジあたりでもうひとつバトルが繰り広げられるのか、といろいろ想像していた私なのですが、「トマトジュース900mlが128円!」に心を奪われ、うっかりしているうちに夫婦の姿は消えてしまいました。んー探偵失格、です。
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by yochy-1962 | 2012-10-17 21:10 | ひとりごと | Trackback | Comments(2)

by yochy-1962