今年のクリスマスはちょいとオシャレに、渋谷オーチャードホールで行われた「来生たかおコンサート」に参戦してまいりました。
アーティストというよりは、ソングライターとしての活躍が有名な来生氏ですが、他歌手に提供した曲をセルフカバーしたりすると、そのオリジナル曲よりもずっと素晴らしく歌ってしまうという、「歌手殺し」あるいは「逆泥棒歌手」としても有名です(ウソ)。
もちろん大橋純子「シルエットロマンス」、中森明菜「セカンドラブ」、薬師丸ひろ子「セーラー服と機関銃(夢の途中)」など、オリジナルも素晴らしいものはたくさんありますがね。
しかも、私はときどきこのブログでも大騒ぎしていますが、この方、齢を重ねるごとにその声の質は甘みを増し、より深く、ビロードのような高級感。素晴らしいことこの上なし、なのです。
これは、歳を取るとどうしても声が低くなってしまう女性歌手には到底真似のできないことで、今年で67歳とご本人はおっしゃっていましたが、まだまだまだ。あと10年くらいは、健康でありさえすれば、その歌声をステージで堪能させていただけるのでは思った次第です。
それと、来生氏の一番の魅力は、そのメロディーラインの美しさ。
けっして奇をてらうわけではなく、スタンダードでありながら、それでいて綺麗な、心洗われるようなメロディー。
私の個人的な見解ですが、この方と玉置浩二氏、三木たかし氏が、美しいメロディー界(そんなものがあるのか)における代表的作曲家なのではないかと思います。
まあ、三木さんはともかく(亡くなったわけですし)、玉置さんに関しては、曲とか声とかの前に、その佇まいにうろたえて、ライブとかに足を運ぼうとかは思わないのですがね(苦笑)。
しかし、仕方ないことではありますが、曲調、アレンジ、客層(まあ、我々も御多分に漏れずですがね)、すべてにおいて昭和、あるいは80年代を感じずにはいられませんでした。
まあそれは残念なことではなく、かえって望んでいた空間だったりするのですがね。
来生氏曰く、「いま、レコードが売れなくなったのは、ネット配信などの影響もあるけれど、メロディーラインのパターンが出尽くされて、もう新しいものが出なくなっているからなのではないか」
確かにそうかもしれませんね。自分がそうだから言っているわけではありませんが、やはり、昭和(それも後期)の音楽こそが、最後の「新しい」音楽だったのかもしれません。
それでも、来生氏が歌っている歌の、詞の内容を噛みしめるように聴いていて、はて、もうすっかり現役から遠ざかった自分は(情けない)、どのへんのスタンスでこれらの歌を聴けばいいのかと、しばらく悩んだりもしました。
でもそれは、さくらももこさんとのコラボで生まれた新しい曲(CD買ってしもうた)を聴きながら、そしてアンコールでの「夢の途中」を聴きながら、思いました。
あの頃(どの頃なのかは自分でもよく分からないんですけれど)、よく遊んだ友達、そして大好きだった君。
今でもお元気ですか?
そして、これからもずっとお元気でいてください。
そして、たまに昔を思い出すことがあったら、ついでにでも、僕のことを思い出してくださいね。
僕は元気です。
いろいろ大変なことはあるけれど、
それでも、きょうは元気です。
一日一日、噛み締めながら、足を踏みしめながら、元気で生きています。
こんなことを思いながら、美しいメロディーに心を預けておりました。
さて、そんなことを思いながらも、コンサート後の宴会も楽しみであります。
ここは同行の友人が馴染みにしている、渋谷区神泉にある「二代目葵」という、ちょいと良さげな居酒屋さんです。
雰囲気よく、ひとつひとつの料理も素晴らしく、クリスマスに相応しい、とてもいいお店でありました。
普段行く大衆酒場3回分、といったお値段ではありましたがね(^_^)。まあワイン3本も飲めばそのくらいにはなりますかね(^_^)。
で、「神泉といったら東電OL事件じゃん? あれってどこなの?」
「ああ、ここですよ」
なんと、お店の目の前だったのでした。
……メリークリスマス!