2017年 05月 19日
さよなら明大前
といっても、ユーミンの歌詞のようなストーカーまがいの話ではありません。
あっ、何かの取り立てでパンチパーマのお兄さんに追いかけられているわけでもありません。
まだ幼稚園前、といった感じのちっこい男の子が、覚えたてっぽい、これまたちっこい自転車にまたがって私を(なぜか)待ち構えているのです。
で、私が横を通り過ぎるとき、その男の子は可愛い声で「おはようございまちゅ」と私に挨拶してくれます。
そして次の曲がり角までのほんの数十メートル、男の子は私の横をぴったり並走してくれます。そして曲がり角を曲がるとき、これまたちっちゃな、ホントに可愛らしい声で「いってらしゃいまちぇ」と言ってくれるのです。
子どものいない私は、こういうシチュエーションのときにどういう態度を取ればいいのか分からなくて、瞬間ドギマギしてしまったりしたのですが、2回、3回と続くうちにすっかり慣れ、にこやかに「おはよう」「行ってきまーす」などと言えるようになり、それ以来、朝のちょっとした楽しみになっています。
子どもを作らなかった自分の人生を、ほんの一瞬後悔するひととき、だったりもしますがね(苦笑)。
まあしかし、どうしてこの子は私に対してそんなことをしてくるのかは謎、なのですがね。
たんにこの子が朝の自転車ルーティンをする時間に私が現れるだけなのか、時間帯によって何人も並走する相手がいる、ちょっとした人たらし、みたいな感じなのか分かりませんが。
でも、ああ、今日もよく眠れなかった、ああ、また太ったどうしよう、ああ、またあのヲンナ、オレを抜かして走っていった、というような、朝から洪水のように訪れるストレス(どれもしょぼいものばかりですが)を、一瞬でも忘れさせてくれる時間になっていることは確か、なのであります。
しかし、そんな蜜月を、私は近々、自ら断ち切らなくてはならなくなったのです。
そう、思うところあり、私は明大前から引っ越すことになったのでした。
およそ5年半暮らした明大前、東松原。
静かで、暮らしやすくて、素晴らしいことこの上もない街でしたが、まあ、また環境を変えて再スタートするのもいいでしょう。物を捨てられない私が、断腸の思いで断捨離できる、またとないチャンスでもあります。これを大いに活かさない手はない、ですね。
いいお店がたくさんある街でした。大学生メインの街ということもあって、我々オッさん世代が身悶えして喜ぶ煮込みを出してくれる店は今ひとつありませんでしたが、それでも気に入った店は何度か足を運んだものでした。
明大前は、再開発計画真っ最中のようで、線路沿いにあった美味しいお好み焼きの店も、残念ながら閉店。
しかしこの、線路から外れたお好み焼きの店は、らしくない店構えで、ゆったりとくつろげる雰囲気が最高でした。値段も良心的で、店員さんも感じがよく、ここは引っ越しても伺いたいと思います。
串揚げ屋さんですが、この燻製盛り合わせが絶品で、メインメニューもオーダーせずこればかり食べて失礼しました。ここも機会があったらまた通いたいと思います。
お店の方の威勢が良くて、オッさん的にはちょっと……な雰囲気でしたが、ここの刺し身は美味しかったです。
私はこの店が出来たばかりに引っ越してきて、こないだ伺った時にちょろっと話したところ、今度西永福に支店ができたんだ、なんて話を伺いました。こういう話を聞くのが、何よりも嬉しいですね。
とにかくさよなら明大前、です。
あの男の子が、私がいなくなったと知った時に平静でいられるのかが、ちょっと気がかりですがね(笑)。
最後の日はちゃんとお別れを言った方がいいのか、もういまのうちに、きっぱりと違う道を通ってしまった方がいいのか、大いに悩むところです。
ま、私が突然消えたとしても、その子はそんなこと一瞬のうちに忘れ、もっと楽しいことを次々と覚え、大きくなっていくんでしょうね。
そんなものです。それでいいと思います(^_^)。
最近、不審者には積極的に挨拶するよう、
小学生あたりでは指導されているそうです。