2011年 12月 20日
Battle at the mirror
「はい? なんでしょ」
「……まあ、別にいいんですけど」
「はあ?言い出しておきながら別にいいって」
「……アナタご本人のことだからいいけど」
「だからなに? もったいぶっちゃって」
「アナタ、いつまでも王子だとかアイドルだとか言い張っちゃっていますけれど」
「はい、奇跡の49歳とも言われてますけど。……何か?」
「実際にそんなこと言ってる人を見たことないけどね」
「あ、そう? よく言われてますが。どう見ても40くらいにしか見えないって。ご存知なかった?」
「…40だって、十分トシだと思うけどね」
「……。だからなに? なにつっかかってくるの? 感じ悪いなあ」
「……老けたなあ、と思って」
「…ん? 誰が?」
「…これだ。自覚がないんだからしょうがないったらしょうがない」
「はっ、オ、オレ、ですか?」
「……イエス」
「……。またまた、じ、冗談を」
「なんだかシワ増えたし」
「シワ? 前からありますけど。それにこれはシワじゃなくて、……エクボ」
「現実逃避するクセは前から変わらないのよね」
「ポジティブシンキング、と言ってもらいたいね」
「…だからこそ、そんなんなっても平気で生きてこれたと思うんだけど」
「……なんなの? さっきからずっと。ケンカでも売ってるわけ?」
「そのほっぺのシミには気がついてるの? って話よ」
「……シミ?」
「あなた携帯の着信音は淳子の“ねえ!気がついてよ”だけどさあ、ホントに気がついてもらいたいのはそのシミだと思うんですけれど。いかがでしょう?」
「えっ? シミなんかない…はず…だけど……はっ!」
「いつも暗いところでしか自分の顔見てないから気がつかないのよ」
「……」
「暗いところで自分の顔見せて若い〜とか言われたって、意味ないじゃ〜ん、ってヤツよね」
「……」
「それに最近アナタ、仕事場でつくづく老いを感じてるってウワサだけど」
「…はっ」
「同じ島では、というか同じフロアで、どう見てもアナタが一番年上じゃないかって、密かに思ってるでしょ?」
「……はっ」
「会社のトイレで、自分の顔、直視したことないでしょ」
「……はっ」
「そりゃそうよね。明るいもんね、あのトイレ。しみとかしわとか、丸判り、だもんねえ」
「……はっ」
「目の下しわだらけ、っていう時代はもう昔。いまじゃ目の上もしわだらけだもんね」
「眉間のしわが定着しちゃってます、……ってコラ! こんなときにノリツッコミするなんてオレとしたことが」
「“リアルせんとくん”だったらまだいいけどさあ、その顔は、どちらかといったら“リアルこなきじじい”だと思うわよ」
「リ、リアル……こなきじじいっ! ヒッ」
「最近よくヒゲ伸ばしてらっしゃるけれど、すでに3分の2は白髪だしね」
「ヒッ………」
「ちょっとは自覚したほうがいいと思います……」
「……」
「……あっ、なにも言わなくなっちゃった。ちょっと言い過ぎたかな?」
「……」
「大丈夫よ。これはすべてフィクション。架空の会話、ってヤツだから」
「……」
「じ、じゃあ、失礼しますぅ。さよなら」
「……ち、ちょっと待った。待ちやがれ!」
つづく
∴∴
☆∴☆
∴.☆.∴
☆∴∴∴☆
∴∴.☆.∴∴
| |
|~~~~~~|
Merry Christmas。。.☆*
Joy and Peace to You。.☆*:.。.☆*†
daikanyamamaria。。☆*:.。.☆*†
来年もよろしくね(^_^)v☆