2011年 11月 17日
Tokyo迷子ウォーキング「春の小川の謎」
いつもこれが目につくたび、「ここが春の小川ですよ〜って言われても。川なんかないじゃーん」と思っていたのですが……。
小田急線の線路脇に、こんなものを発見したのでした。
春の小川記念碑、というもので、説明によると、なんでもこの辺りには以前「河骨川」という川が流れていて、それはそれは清らかな、私のような川だったのだそうです(笑)。
春になると、岸辺には私のように美しい(しつこい?)れんげやすみれが咲き乱れ、詩人の高野辰之は、この風景を愛し、そして出来たのが「春の小川」という歌だったのだそうです。
現在は暗渠になったという河骨川ですが……、ということは、川はいまでも地下を流れ、どこかへとたどり着いているはず。でもいったいこの川はどこに流れて行くのでしょうか。
……で、急遽「春の小川の行く先を辿る」迷子ウォーキングが始まったのでした。
「春の小川はここ」というご案内を辿って辿っていくと、こんな遊歩道を見つけました。
代々木公園の脇から、渋谷に向かって行く遊歩道で、「宇田川遊歩道」と書かれています。なるほど、「河骨川は宇田川の支流」という説明が書かれてありました。だったら河骨川の上流を辿って行ったほうがよかったかなと思いましたが、この遊歩道にも興味があって、そのまま歩くことに。
ちょいと横を向くと、天下のNHKを眺めることができます。「春の小川」はさらさらと、NHKの横を流れていたのですね。
こんなところで遊ぶ子どもはいるのだろうかと、ちょっと疑問。ホント、必要だったのかなあこういうものが。
渋谷にごく近い場所だというのに、この遊歩道の両脇は、古い建物やアパートが点在していて、再開発に「取り残された」という風情が感じられます。
「光子館」と書かれた、お店なのか工場なのかわからない、ちょっと怪し気な古い建物があり(写真では左から2番目の建物)、扉が開いていたのでちょろっと覗いてみたら、中に白い大きなぬいぐるみが置かれていて、「えっ、なんだろうここは」と興味津々(というか、少々不気味)になってしまいました。
誰もいなかったら写真でも撮っちゃうのですが、暗い室内におっちゃんがひとり佇んでいたので撮影は断念。あとで調べてみたらここ、テレビ番組などで使う着ぐるみなどを作る会社なのでした。ガチャピンやムックもここの出身のようです。ああ、NHKのすぐ近くですもんね。
渋谷ですから、ソース派やっぱりハチ公ソース、です。
しかしハチ公ソース、なんて知りませんでした。昔の看板っぽいから、いまはもう存在しないのかなあと思いましたが、会社は昭和6年から、ソースは昭和21年から販売され、現在でもしっかりあるようです。渋谷の東急ハンズ、東急東横店等で販売されているのだとか。一度試してみたくなりました。
こんなところに金魚屋さんを発見。
ちょっと新しい建物ですが、さすが春の小川沿いの金魚屋さんだけあって、めだかもしっかり置いてあるようです。
でもここで金魚すくいを楽しもうなんて人、いるかなあと思ったのですが、帰りに同じ道を通ったら、近所の小学生たちが群がって金魚すくいを楽しんでいました。こんな場所に子ども、いるんだなあ。
渋谷に到着しました。
宇田川は西武渋谷店の下を流れ、それから渋谷川に合流されているのだそうです。
どうして西武のA館B館は地下でつながれておらず、このように渡り廊下みたいなものでつながれているのか、それは下に川が流れているから、なのですねー(出典・ブラタモリ)。
東京にはいたるところに川があったのに、東京オリンピックのあたりに暗渠化されてしまったものが多いようです。もしオリンピックがなかったら、いまごろ東京はベネチアみたいな風景になっていたんじゃないかと思っていたのですが、これらの川は、すでに生活排水などの理由で「どぶ川」になっていて、悪臭のために暗渠を望む声が多かったのだとか。
んー、「春の小川」は遠くになりにけり、ですねー。詩人の高野辰之先生は、いまの様子をどう眺めているのでしょうかね。